映画「勝負」予告編と実在の人物紹介|The Match|Lee Byung-hun, Yoo Ah-in
みなさま、こんにちは。
今日は3月26日から韓国で上映が始まったイ・ビョンホンさんとユ・アインさん主演映画『勝負』(原題)の予告編を紹介します。
映画の登場人物たち
まずは映画のポスター。



残念ながら、イ・ビョンホンさんと並んでW主演のユ・アインさんの映画ポスターはありません。
麻酔薬過剰投薬で罪に問われ裁判中のため、ポスターのみならず、予告編でも一切姿を消されています。
本当に残念でなりませんが、しっかり償って、きっと再起して頂きたいです。
映画『勝負』は韓国囲碁界のレジェンド、チョ・フンヒョン棋士が、息子同然に育てた内弟子のイ・チャンホ棋士に手痛い敗北を喫し、再び頂上を目指して挑戦する勝負師としての姿を描いた作品。
他にコ・チャンソク(チョン・スンピル役)、ヒョン・ボンシク(イ・ヨンガク役)、ムン・ジョンヒ(チョン・ミファ役)、チョ・ウジン(ナム・ギチョル役)、そしてキム・ガンフン君がイ・チャン棋士の子ども時代を演じています。





ドラマ『ミスター・サンシャイン』をご覧になった方は、ここでお気づきかと思いますが。
『ミスター・サンシャイン』でイ・ビョンホンさんの子ども時代を演じていたのが、まさに今回ユ・アインさん扮するイ・チャンホ棋士の子ども時代を演じるキム・ガンフン君です。
同じフレームに収まっているスチール写真を見て、ちょっと嬉しくなってしまいました。

実在モデルとのシンクロ率
イ・ビョンホンさん演じる韓国囲碁棋士界のレジェンド、チョ・フンヒョン棋士は1953年生まれ。1962年に韓国棋院に、1966年には日本の棋院に入団。
最年少の数え年9歳でプロ棋士として入団し、文字通り「神童」と呼ばれた方です。
一方、ユ・アインさん扮するイ・チャンホ棋士は1975年生まれ。数え10歳の時にチョ・ヒョンフン棋士の内弟子となり、寝食を共にする中で、師匠に次ぐ最年少記録2位の数え11歳の時、プロとして入団します。
かつての神童が神童を育て、ライバルとなり、ついには追い越されてしまうドラマティックな展開となるわけですが、公開された映画のスチール写真は、シンクロ率100%。

監督のキム・ヒョンジュさんは、「私は監督なのでずっと関連資料を見てきました。なのでチョ・フンヒョン棋士の特徴をある程度は知っているわけです。もともとそこまで似ているとは思わなかったのですが、イ・ビョンホンさんが初めてカメラの前に立った時、本物のチョ・フンヒョン棋士だと思った」、「特有の口元、目つき、ジェスチャー、そういった特徴をとても上手に生かして表現していた」と述べ、映画の試写会を見た後輩棋士のシン・ジンソ9段も「二人の先輩のシンクロ率がすごかった」、「特にチョ・フンヒョン棋士の姿に驚かされた」と感想を述べられています。(出典:マックスムービー)
卓越した演技力の持ち主であるイ・ビョンホンさんとユ・アインさんなので、こうした評価も頷けます。
ちなみに上の写真は1991年の師弟対決時のチョ・フンヒョン棋士の姿ですが、弟子のイ・チャンホ棋士が師匠に初めて勝ったのは、その前年1990年です。
その時の映像があるので、ご紹介しましょう。
「[今日は]イ・チャンホ、師匠チョ・フンヒョンに初勝利 (1990.2.2)」と題された2022年2月2日、KBSニュースの映像です。
囲碁の天才イ・チャンホ四段が師匠であるチョ・フンヒョン九段との最高位戦。
決勝第5局で半目勝を収め、最高位タイトルを獲得しました。
「驕ることなく一生懸命勉強して、もっと上にあがれるように努力します。」
11歳の時に最年少プロ棋士として入団してから4年ぶりに80パーセントに達する勝率1位と驚異的な戦績を積み重ね、不動のトップを証明しています。
イ・チャンホ九段は優性を守った末、勝利を収めました。
「良い瞬間をお見せできるように努力します。ありがとうございました。」
満14歳の時に師匠を破ってしまったのですね。
映画の中で二人の対決がどのように描かれるのか、非常に楽しみです。
ドラマ『応答せよ1988』のテクはイ・チャンホ棋士がモチーフ
さて、日本でも人気を博したtvNドラマ『恋のスケッチ~応答せよ1988~』。
このドラマも映画『勝負』と接点があります。

このドラマを機に一気にスターダムを駆け上がったパク・ポゴムさんでしたが、この時演じた囲碁棋士のテク、実はイ・チャンホさんをモデルにしていました。
そのことは、ドラマの放送当時から新聞などでも言及されており、東亜日報も2016年5月7日付の文化欄で「‘応答せよ1988’チェ・テクの実在モデルイ・チャンホ、11歳年下の妻にトキメク‘石仏’」と題しドラマと比較し詳細に報じています。
ドラマをご覧になった方は覚えていらっしゃると思いますが、テクが運動靴の紐を結ぶのが下手で、ジョンファンが結んであげるシーンがありますよね。
実はこれはイ・チャンホ棋士を象徴するエピソードの一つ。
裕福な家庭で何不自由なく育ったイ・チャンホ棋士は、身の回りのことを殆ど親がやってくれる環境で甘やかされて育ったため、靴紐も自分でちゃんと結べなかったのだとか。
チョ・フンヒョン棋士の奥様は当時小学生だったイ・チャンホ棋士を、お風呂に入れてあげたり、靴紐も結んであげるなど、身の回りのことまで世話をして可愛がったと回想されているそうです。
先ほどの東亜日報の記事によれば、イ・チャンホ棋士もドラマを見ながら、自分のことだと思っていたそうです。
靴ひもの逸話以外にも、テクが「世界囲碁最強選」に韓国勢で一人生き残る6話のシーン。
優勝するには一人で5人に連勝しなければならないというシーンですが、実はこのシーン、実際に行われた2005年「ノンシム杯世界囲碁最強選」をモチーフにしています。

2015年の冬にドラマ『応答せよ1988』でテクのモデルとなって話題を集めたイ・チャンホ棋士が、10年ぶりの2025年春、今度は映画『勝負』では実在人物としてまた大きくクローズアップされているのですね。
映画『勝負』予告編
さて、というわけで映画『勝負』の韓国での予告編をご紹介します。
映像はBY4M STUDIOによるYouTubeの公式予告編動画です。
世界プロ棋士選手権大会決勝最終戦の最終兵器
囲碁の神と勝負しても負けないと思います
全州の囲碁の神童だそうだが
なぜ私に習いたいんだ?
おじさんが一番強いんでしょ?
これからは先生と呼ぶんだ
実戦では勢いが8割だ
勢いに負けてはいけない
学ぼうとせずに どうやったら勝てるかを考えるんだ
師弟対決か
これはちょっと早すぎじゃないか
下手したら本当にチャンホに食われるんじゃ?
まだ10年は早いさ
相手が誰であろうと 勝つのがプロの務めだ
黒の半目勝!イ・チャンホが勝った!
人生最高のポジションで
私が先生か、囲碁の前で? 答えろ!
最も恐ろしい相手に出会った
お前のおかげで私も最近多くを学んだよ
私がいつでも負け得る人間だってことを
今まで通りにして下さいよ
こんなふうに息を潜めて縮こまるのは あなたらしくない
チャンホがそうであったように、今度は私がチャンホに挑戦しなければ
チョ・フンヒョン九段の絶妙な勝負手です
死力を尽くせ
この碁は永遠に残る名局です
仕方ない これが勝負だから
囲碁レジェンド チョ・フンヒョン
イ・ビョンホン
この映画のすごさは、なんと言ってもこれを映画化することを許したチョ・フンヒョン棋士の度量の深さと潔さに尽きるのではないかという気がする予告編。
自分が我が子ほど年の離れた弟子に敗れる姿を描きたい人が、この世にどれだけいるでしょうか。
そしてこの、かつて師匠を打ち負かした弟子も、時と共に追われる立場になり、今度はまた誰かに負けるのですよね。
本物の勝負師たちの厳しい世界。是非スクリーンで楽しみたいです。
白 香夏(ペク・ヒャンハ)
韓国語翻訳家。
主な著書および翻訳書に『ケバケ食堂 フォトブック』日本語版(白香夏 著)、『ケバケ食堂 フォトブック』韓国語版(白香夏 著)、『ワンドゥギ』(金呂玲 原著/コリーヌファクトリーLLC刊)、『ソ・ジソブの道』(ソ・ジソブ 原著/竹書房)、『幸せな通勤』(ポンニュン 原著/佼成出版社)、『中国が北朝鮮を呑みこむ日』(金辰明 原著/ダイヤモンド社)、『あこがれのあの人にハングルでファンレターを書こう!』(白香夏 著/学習研究社)、『イージーハングル3』(ユンソナ 著/白香夏 監修/学習研究社)、『一枝梅公式ガイドブック』(白香夏 監修/TOKIMEKIパブリッシング)他。
白香夏のブログ
ペクヒャンハ・ドットコム(https://paekhyangha.com/)


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